ヘリサート加工 |
チェンソーや草刈り機は軽量化をはかるため、アルミダイキャストやマグネシウムダイキャスト、プラスティックを多用しています。 軽くて丈夫ですが、やはり分厚い鋼鉄製と同じくらいの強度があるとは思えません。 特に5mm前後のネジ山などは力強く締めると、ねじ切ってしまうこともあります。 そのように、ネジ山をこわしてしまった場合などに、そのネジ山を修復する方法があります。 ヘリサート加工といいます。(他にも色々と呼び方はあるようです。) ヘリサート加工の一例を紹介します。 |
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青い矢印のネジ穴を、ねじ切ってしまっています。 |
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上記写真左下のネジ穴の拡大 | |
ネジ穴が軽くつぶれているだけならば、タップを切るだけでネジ山は再生することもあるのですが、このようにネジ山が切れてしまた場合はヘリサート加工しなければなりません。 | |
ヘリサート加工用のタップ切りです。 一番上に矢印のタップは途中から折れていますが、これはわざとこのようにしています。 タップは中間あたりが一番径が大きくなっています。 下の青い矢印。 |
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タップをこのような工具に、取り付けます。 そしてネジ穴を切っていきます。 |
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ネジ穴に垂直に立て、切っていきます。 | |
タップを切るときは、タップ切りの径が大きいところが、貫通するまでねじ込んでいきます。 写真のように、このくらいまで差し込んでいきます。 するとネジ穴の径が上から下まで、すべて同じサイズになっています。 |
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次に大きくなったネジ穴に、ヘリコイルという物を取り付けます。 これでネジ穴の径を元のサイズに戻します。 ヘリコイルには径のサイズだけでなく、長さのサイズもあります。 ネジ穴の厚みによって使い分けます。 |
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次にこの工具を使って、ヘリコイルをネジ穴に取り付けます。 | |
ヘリコイルは片側だけ輪のセンターに向かって折り曲げられています。 ひらがなの「の」字状になっています。 この部分は取り付けが終わったら、折り取ってしまいます。 |
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青い矢印のところを、合わせる。 | |
合わせたところ。 この工具の先端の内側にはネジガキってあります。 |
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ここまで、きたらヘリコイルを回しながら、この工具の先端まで移動させる。 | |
ヘリコイルを先端まで移動させたところ。 | |
ヘリサート加工用のタップを切ったネジ穴にセットします。 | |
そして右に回しながら、ヘリコイルをネジ穴に挿入していきます。 最後まで挿入できたか、確認して、OKならば一度逆に回します。 逆に回すことによって、ヘリコイルの先端「の」字状の部分を折り取ります。 |
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取り付け完了。 | |
きれいに取りつける事が出来ました。 | |
元上るとが取り付くかどうか、確認します。 | |
うまく取り付きます。 | |
次は、ここも同じように取り付けます。 | |
ここは、青い矢印の部分がじゃまをして、タップを貫通させることが出来ません。 そこで、秘密兵器のタップを使用します。 タップさえ切れれば、ヘリコイルの装着は同じです。 |
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今回のように、ヘリサート加工はすべてうまくいくわけではありません。ボルトが折れ込んでいたりするときは、失敗する確率の方が高いこともあります。 ネジ山の崩れ方にもより、出来ない場合もあります。 すべてのネジ山を修復することは出来ませんし、修復しやすいネジ山やしにくいネジ山などがあり、すべてがうまくいくとは限りません。 ですから当店では、ヘリサート加工をする場合、お客さんにその旨お伝えしています。 失敗してもかまわないという了解を得て、ヘリサート加工を受けています。 それでもプロかと怒られるかもしれませんが、状態によって困難な場合が多々あります、ご理解ください。 また、面倒ですし、ヘリサート加工などせずに部品を交換する、販売店もあるくらいです。 |